美貌の帳
(講談社ノベルズ発行)
ストーリー  伝説の女優が三島由紀夫の一幕劇『卒塔婆小町』で復活。「隠れ処(オテル・エルミタージュ)」という名のホテルにしつらえた舞台で、彼女は落魄の老婆から鹿鳴館の美女に変身した。が、対立していた演出家が失踪、パトロンの館は業火に包まれ、女優にも呪詛と脅迫の電話が。壮絶な美がもたらす罪業に迫る京介(講談社ノベルズより抜粋)。
個人的感想  えーと。
 ここまではまだ平気(何が?)。
 「原罪の庭」で、頑張って自分の殻から飛び出そうと決心したのに、中々上手くいかなくて、悩んでいる蒼ちゃんと、それをどこまで手を出して良いものやら悩みながらも、彼の力を信じている京介が微笑ましいです。
 京介が、蒼ちゃんを突き放そうとしながらも、どうしてもそれが出来ない。京介、無理して突き放さなくても良いんだよ・・・。
 今回の犯人役の彼は、今までの中で一番気味が悪いと言うか、なんだかイヤ〜な気分にさせられるキャラクターでした。なんつーか、エゴだらけっていうか・・・。どんなに、自分を正当化して見せても、全てが自己弁護にしか聞こえない気がしたのですが・・・。プロローグの静音さんはうっとおしいし…(禁句)
 さらに毒吐きで申し訳ありませんが、今回の謎解きも、「卒塔婆小町」の変身のトリックも、ご都合主義って感じがしたのは私だけですか?。
 でも、ミステリ、としてでなく人間ドラマとして読むなら面白い一冊だったと思います。