仮面の島
(講談社ノベルズ発行)
ストーリー  ヴェネツィアの小島に隠棲する未亡人に不吉な気配が忍び寄る。かつて求愛を受けた亡夫の息子が企てる島の売却話、招待したライターの失踪、未亡人に寄り添う女彫刻家にも暗い過去が。ラグーナを渡る不穏な風は2つの殺人を呼んだ。
 京介、そして人生の重大な決断を前に悩む蒼が迷宮のごとき街を走る!。(講談社ノベルズより抜粋)
個人的感想  感想を書くにあたって再度読み直したんですけど、何て言うのか、『面白い』。
 前半部分のヴェネツィアの描写では、ものっすごくヴェネツィアという国の魅力に惹かれましたし、後半部分の話のどんでん返しの繰り返しもものすごく面白かった。あんなに事件に対して精力的に動く京介って確かに珍しいですよね。
 個人的に、神代先生の「親がてめえの息子に会うのに、何の理屈が要るってんだい」の啖呵に、すごく嬉しくなって。蒼ちゃんも言ってるけど、蒼ちゃんの周りには、これでもか!って言うくらいの優しさが溢れていて。周りに優しい人がいることは、彼の人徳といっても良いんじゃないのかな?。つーか、10歳も年下の男の子に憧れてどうする?京介!。彼が気付いていないだけで、京介の周りにも優しい感情は溢れているのにな。それを拒絶する彼にイライラします(苦笑)。
 さやかちゃんにライバル出現、アントネッラは結構好きです。大卒業したら、ぜひとも来日して神代先生を巡るバトルを展開してほしいと思っています。

 えーと。

 この先は、同人的見解って言うか、私の個人的なワガママなので、怖いもの見たさな方だけ反転してどうぞv(←ちゃんと警告はしましたからねー!後からの苦情は受け付けません)。
 えーとですね、実はこの作品、こんなに面白かったのにもかかわらず、私の記憶の中からすこーん!と抜けきっていたんですよ。
 なんでだろう?読み直して何となく↓これの所為かな?って・・・。
「長い話になるよ」
 自分の過去を吐露しちゃダメだろう!しかも深春に!!。私の中では、京介を支えてくれるのは、成長してイイ男になった蒼ちゃんってことになってるのに!!。それまでは、京介には自分の過去を背負って足掻いて足掻いて足掻きまくっていてほしかったのにー!!!!。
 で、成長した蒼に誰にも何も話さずに足掻いている京介の重荷ごと、受け止めてあげて欲しかったのです。蒼を救ったのは、京介だから。彼らの絆は、そこまで深いものなのだと思っていますので。
 誓って言いますが、深春が嫌いなわけではありません。京介と、蒼では押しつぶされそうなことでも、深春がいれば大丈夫というキャラクターだと思っていますし、なんだかんだ言っても3人が好きなのです。
 ただ、ここで、深春に告白しても良いものなのかな?と。3人のバランスが崩れてしまうという恐怖を感じたのは、私だけでしょうか?
 先生もおっしゃっていますが、「キャラクターは成長するもの」ということを否定するわけでなく、バランスを保ったままの成長を求めてしまうのはいけないことですか?。(くすん)