銀の檻を溶かして
(講談社ノベルズ/講談社文庫発行)
ストーリー  とある街の一角に、その店は存在する。燻べた色の木の床、木の壁、木の天井。まるでそこだけ時に取り残されたかのような――その店。蒼然たる看板に大書された屋号は「深山木薬店」。優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の三人が営む薬種店は、だが、極めて特殊な「探偵事務所」で・・・!?。(講談社ノベルズより抜粋)
個人的感想  薬屋さんシリーズ一冊目です。
 友人が「これは、ノベルズで出すより、文庫で出した方が良いんじゃ?」と言っていましたが、確かにそんな感じはします。そのくらい、若い子向けで親しみやすいと思います。
 それぞれら魅力的なキャラクター、素直な性格でオモチャにされたり、可愛がられたりしているリベザルは勿論、穏やかで色々周りに気遣いができる反面、どこかとぼけた感じのする座木さん、思慮深くて、女王さまタイプに見えがちな秋ちゃんだって完璧ではなく、色々と、苦手なものが存在する。1人1人が「生きている」存在なんです。もしかしたら、本当にこの世界の何処かに「深山木薬店」があるような気にもなってきます。
 本来の謎解きも、実は、あちこちに伏線が張られているんです。読んでる人に手の内を全て明かしていて、アンフェアはなし。軽い気持ちで読めるミステリです。