もうひとつのドア
(新書館・Dear+文庫発行)
(illustration:黒乃 ノリコ)
ストーリー  ――きみはこれからきっと幸せになれる。
 生きる希望もなく、不幸に慣らされていた広海にそう言ってくれたのは、大きくて暖かい手を持つ三夜沢だった。理不尽な借金に追われる十七歳の広海は、バイト先に客として現れた少女とその父親三夜沢と知り合う。娘に冷たく見えた男に初めは反感を覚えるものの、いつしか三夜沢の不器用な優しさに惹かれ・・・(Dear+文庫より抜粋)
個人的感想  とうとうと、話が穏やかに流れていくイメージです。私的には、お気に入りの1冊。
 ものすごく冷たそうに見えて、実は娘を大事にしている三夜沢さんがツボです。彼の一言一言には、本当に装飾的なものはないけれど、その分大事なことだけを言葉に乗せているんですよね。三夜沢さんの暖かさが感じられます。
 誰も信じないで17年間を暮らしてきた広海くんですが、彼の周りにだって隣人の柳瀬くんとか、パン屋のおばさんとか『広海自身』を知って心配してくれる人がいることが居て、それを広海くんがきちんと分かってくれたことが嬉しかったです